「てくさぽBLOG」新年1回目です。テクサポの佐野と申します。本年もよろしくお願いします。
さて、今回は11/26にベルサール神保町で行われた「IT Leadersフォーラム」の参加レポートを投稿します。
参加した理由はテーマが「IoT/ビッグデータ」と旬、かつストレージに関するセミナーという点が決め手となりました。
当日の講演者は以下の通り。
基調講演:ガートナージャパン 鈴木雅喜氏 →全体概要
セッション1:日本HP 井上陽治氏 →Flash、SDS(Software Defined Storage)
セッション2:日本IBM 佐野鉄郎氏 →Flash
セッション3:クラウディアン 本橋信也氏 →オブジェクトストレージ
セッション4:SCSK 遠藤秀喜氏 →オブジェクトストレージ
基調講演1
セッションの中で最も有用と感じたのは基調講演です。
重要なポイントをご紹介します。
- ITインフラやストレージを取り巻く環境の変化
- 目的が変わる
→「コスト削減」から「成果を出す」ことが目的に - 予測不能なLoBのニーズ
→例えばモバイル利用のニーズ、大量データの分析に対して迅速な応答を求められる、など - コスト・時間のプレッシャーが厳しくなる
→お金はかけられない。しかしすぐにIT基盤を提供しないといけない - リスクと成果のバランスを考慮する必要がある
→リスクがあるから全てダメ、ではなく得られる成果とのバランス感覚が大事
- 目的が変わる
基調講演2
- ITインフラに関わる人間は、技術者視点から利用者視点に変わる必要がある
→例えば「使いやすさ」がインフラにも求められる
→ここでいう「使いやすさ」にはUIだけではなくパフォーマンスや可用性といったものも含まれる (応答性能が悪かったり障害が多くそもそも使えないインフラは論外。誰も使わない) - SoR(Systems of Record)とSoE(Systems of Engagement)ではITインフラに求められるコトが違ってくるので、バイモーダルで考える必要がある
→相反する特性のシステムが混在
※注:ガートナーは「モード1」「モード2」と表現をしていますが、それぞれSoR・SoEに相当するため表現を変えています。 - ストレージ市場の現状と今後の見込み
- 従来型ストレージの伸び悩み、Flashストレージ市場の成長
- SDSの拡大、ハイパー・コンバージドの拡大
- 主にLoBが基点となりクラウド活用機運が高まる
個別セッション
ここからは個別セッションについてのポイントをピックアップします。
- HPの2015Q3では3PARストレージにおいてHDDよりSSDの方が出荷額が大きかった
- HPの直近の実績としては、外部ストレージ:YTY-4%、サーバー内蔵ディスク:YTY+10%という傾向
- IBMのFlashストレージは100μsecと圧倒的なLatency
- オブジェクトストレージの特徴:安い、拡張性が高い(スケールアウト)。でも速度は遅い(Latencyはミリ秒のオーダー)
- CloudianはAmazon S3のAPIと完全互換 →クラウドとの連携も容易に実現できる
- SCSKの調査ではBI・ビッグデータ・センサーデータのデータ容量の伸びが他と比べて大きい
- 前回調査に比べてアーカイブデータの比率が下がっている(=アクティブデータが増えている)ため、IoTへの対応が進んでいると考えられる
まとめ1
全体のまとめ・感想
- システム全体のコストを削減することも重要な要素ですが、今後は価値をいかに訴求するのかがより重要になります。
- 機能や可用性要件を100%満たしたIT基盤を提供するのではなく80%でいいから素早く展開することも重要となります。特にイノベーションを起こすような場合には展開速度が非常に重要なファクターとなります。
そのための手段としてSDSやクラウドを積極的に活用することが重要です。 - HP社の実績(外部ストレージ:YTY-4%、サーバー内蔵ディスク:YTY+10% )から、SDSの流れが見えてきます。
- 営業には情報システム部門だけではなくLoBもカバーすることが求められます。特にLoBのキーマンを見つけて価値を訴求することが効果的なアプローチです。
まとめ2
- IDCのレポートからも今後のストレージ市場が大きく変化していくことが読み取れます。
特に、ストレージは早いFlashと遅いディスクストレージの2極化が進むと予想しています。特に後者はPBクラスの容量に拡張できることが求められます。
参考:国内エンタープライズストレージのメディアタイプ別市場予測を発表(IDC Japan)
普段はIBMのセミナーがメインなので、こういった第3者の視点からのセミナーは勉強になります。
今後も有用なセミナーのフィードバックを続けていきますのでお楽しみに!