・大学生もわかる「ビジネス用マシン」の基本とは
・仮想化環境においても変わらない IBM i の価値 他
— 安井さんそれでは、引き続きお願いします。ここまでは設計思想について用意いただいたスライド2ページだけで1時間以上お時間を頂戴してしまいましたが、凄く楽しかったです。
IBM i は「長く使える」という声を良く聞く一方で、こう言ったらなんですが、最近のサーバーとしては「古いシステム・・・」「価格もそれなり・・・」というイメージもあります。この「でもお高いのでしょう?」という質問はいつもインタビューにあえて入れているのですが、これらの点について伺ってもよろしいでしょうか。(インタビューアー:重山)
古いのではなく、アプリケーション資産継承がうまくできているモデル
安井:はい、我々も製品に対する冷静な観察だけでなく、ネガティブなものも含めてどのようなイメージを持たれているか、という点にも注意を払っています。
IBM iに対する、逆風とでも言うべきイメージをあえていうなら次の2点だと思います。
1)古いシステムである
2)初期コストが高い
古くから存在するシステムである事は間違いありませんが、古いままのシステムではない事を、納得いただくよう努力しています。すなわち前回説明させていただいた4つの点は不変のものとして、それを土台に新しい機能を常に取り入れるようにしています。これを可能にしているのは、テクノロジーにとらわれない、仮想的なマシンであるところのTIMIです。柔軟な機能強化を可能にしています。
— 古いのではなく、25年前の設計思想がしっかりしていて現在も受け継がれているということですね。その設計のおかげで最新プラットフォームに対応しながらも、アプリケーション資産継承ができると。
安井:はいそうです。2点目の初期コストについては、他のサーバーと比較するのは難しいし、ともすると高いように見えてしまうのも事実です。例えばIBM iにはデータベースやシステム管理機能を含むなど、OS機能に大きな違いがあります。同等機能を前提とした比較になっているのか、という点にも注意を払わねばなりません。
しかし、いまのコンピュータシステムで一番高いのは「人件費」だというデータがあります。
— 「人件費」についてはトータルコストでもよく言われることなのですが、ビジネスの現場では、わかりづらい費用項目でもあると思っています。
DB管理者が居なくても運用できるシステムとして評価されている
安井:はい。IBM iにおける人件費の特徴について、具体的にご説明します。
このスライドを見てください。
出典:「IBM i for Midsize Businesses – Minimizing Costs and Risks for Midsize Business : International Technology Group October 2012
調査会社のデータですが、IBM iを含む3つのシステムにかかる要員数です。さらに人件費を年収ベースで表記しています。
— えーっと、IBM iはどの業界でも要員数は1.0を下回っているのですね。あれ?IBM i の列には「DB管理者」 の年収が空欄になっていますが、これは・・・
安井:そうです、DB管理者はいなくて大丈夫だったということを表しています。
— これはすごいですね。工数が少ないとかは他の製品説明資料でも拝見しますが、そもそも他のシステム運用では必要とされる要員が不要というのは驚きです。理屈ではなくて実際に運用されているユーザからのデータを元にしているでしょうから、本当にすごいです。
運用コストにDB管理者を入れないで良いということは、他の業務に専念できますね。
こういった資料は導入検討のお客様も試算しやすいですね。この人件費分を利用年数で乗算した数字が比較している他製品との価格差に収まれば、確実に“買い”なわけですよね。
安井:実際のシステム検討では、そこまでシンプルではないとは思いますが、「人件費」が安くすむという点はIBM iの強みなのは間違いありません。
— アプリケーション資産の継承、DB管理の容易さ、この2点だけでも運用コストが低減されるのは容易に想像できました。ありがとうございます。
パート1では、25年来続く設計思想、そしてパート2のここまでは導入検討におけるIBM iの強みを知りました。次に、今後のロードマップについて教えて頂けないでしょうか。
IBM i 宣言に見るPowerの将来とは?
安井:はい。それでは「IBM i と Powerの将来」についてお話します。
AS/400誕生から20周年を迎えたタイミングでもあるわけですが、2008年に「IBM i宣言」というものが公表されました。
これは、将来においてもこのシステムに対して継続的な投資をしていく事を、メーカーとしてお客様やビジネス・パートナー様に対してお約束するものです。
具体的な例として、プロセッサーテクノロジーにおいては、次世代サーバCPUの「POWER8」をこの夏に発表したところです。
— 将来にわたる投資宣言ということは、ユーザも安心して採用できますね。
安井:はい。次に直近として「2015 年に向けた IBM i 投資動向」についてご紹介します。
ポイントは以下4点です。
1. ソリューションの品揃え拡大
2. より簡素なシステム管理
3. 万一の際にも回復力のあるシステム
4. クラウド・コンピューティング
JAVAやPHP,さらにはRubyも稼動する
まず、1つ目は業界標準テクノロジーの実装、つまりオープン化によって、より多くの種類のアプリケーションプログラムを稼働させていきましょうという点です。システムである以上は、アプリケーションの品揃えは重要です。ご存知のとおり、IBM iはRPGやCOBOLだけのシステムではなく、JAVAやPHP,さらにはRubyも稼動するようになります。すなわちPHPで記述されたオープンソース・アプリケーションも稼動するようになるわけです。
2つ目の「より簡素なシステム管理」は読んで字のとおりです。昨今は単一のハードウェア上で同時に様々な、そして複数のOSを稼動させる事が多くなってきています。IBM iは管理の容易なシステムと言われていますが、IBM iを含めて複雑化するシステム全体を、容易に管理できるようにします。ユーザーインターフェースをブラウザーに統一する、というのもその一つです。
3つ目の「万一の際にも回復力のあるシステム」ですが、複数サーバーを統合するという事は、裏を返すとリスクの集中とも言えます。一台一台のサーバーがダウンした時の影響は、より大きくなっていく傾向があります。システムそのものに冗長性を持たせる事も重要ですし、外部ストレージ製品が持つデータ・コピー機能を活かしたアベイラビリティ対策にも力を入れています。また、ダウンしてしまう際には必ずログを吐き出してくれれば、対策を講ずる事で次回の同様なトラフルを防ぐ事ができます。
— ログを出さないで落ちるシステムの調査なんて原因特定できませんよね、基本的なことなのかも知れませんが重要だと思います。
安井:はい、基本的な技術をとことん実装できるのもIBMが統一して開発しているIBM iの強さの根源です。
最後に、4つ目は、クラウド・コンピューティングをサポートするための機能強化です。例えば、サービス・プロバイダが複数のエンド・ユーザー会社(第三者)にサービスを提供する際に、いくつかの必要となる機能があります。アプリケーションを停止させずに、サーバーをまたいでその環境を移動できる「Live Partition Mobility」の実装もその一つです。
— ありがとうございます。実は、インタビュー前にこのスライドも拝見したのですが、体系的には理解できていませんでした。これで“ハラオチ“しました。
パート1の際に安井さんが仰っていた、「どうして、その技術が実装されたのか?いろんな機能が増えても、その視点で理解できれば、お客様にも説明、納得できる」という言葉のとおりです。
私は、昔の実際のAS/400を知らず、実際にIBM iを運用したことがないとう点で私も学生と同じレベルですから、今日はすごく内容の濃い講義を受けることができた気分です。
安井:大学院で社会人向けの講義もしておりますので、良かったら入学してください。
普段はあまり配っていないのですが、これが大学の名刺です。(笑顔で受け渡す)
— あ、ありがとうございます。そ、そうですね。勉強にも興味ありますが、今日のインタビューを広く、沢山の方に見ていただけるようにMERITひろばの運営に注力します。(笑)長時間本当にありがとうございました。今後もよろしくお願いします。
安井:こちらこそ、ありがとうございました。