2013年05月

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実際どうでしょう Vol.7「BI導入プロジェクトは結婚生活によく似ている」

普段の製品・ソリューション紹介だけでは聞き出せない情報を「実際のところはどうなんだろう?」という素人視点で、専門家に聞いてみるシリーズです。

題して「実際どうでしょう」。。。どうぞ、ご覧ください。

 

<高田さんの話は技術ではなく、BIを通じてお客様との信頼関係から学んだ貴重な内容でした。これはセミナーでも聞けません。 (*´ω`*) >

 

今回は、弊社のBIの担当営業から「BIに関してはIBMの高田さんの話を一度聞いたほうがいいよ。すごく楽しいし、わかりやすいよ」という情報を入手して、早速アプローチしました。

ご本人いわく、「インタビューを受けるなんて始めて」とのことでしたが、真摯にお客様と向き合い、豊富な経験がある高田さんのお話はある意味人生を悟ったかの如く、私もたくさんの気付きをいただけました。 (インタビュアー:重山)

 

Vol.7 実際どうでしょうゲスト:日本アイ・ビー・エム 高田 和広氏

PROFILE

・日本アイ・ビー・エム株式会社 高田 和広 さん
ソフトウェア事業 ビジネス・アナリティクス事業部 Cognos テクニカルセールス&ソリューションズ
シニアITスペシャリスト
■SEとして生産管理のプログラムに携わり、ERPプリセールス経験を積みながら 2004年にCognosに入社。その後IBMブランドとなり、現在に至る。

 

MERITひろば事務局 重山 勝彦 (インタビュアー)

・日本情報通信株式会社。MERITひろば事務局。入社3年目にてMERITひろばの運営、コンテンツ全般を担当。

※2013年4月時点のプロフィールです。

 

—– 本日(インタビュー実施日は3月末)は締めの時期にお時間いただいて恐縮です。 (重山)

 

高田: いえいえ、それよりもインタビューなんて始めてですが、私でええのでしょうか?

—–  あれ、高田さんは関西弁なのですね、ご出身は大阪ですか?

 

高田: そうです。生まれも育ちも大阪市内です。インタビューは標準語が必要ですか?

—– いえ、そんなことはありません。私も大阪出身です。・・・・(この後の二人のローカルトークは省略。以降はテキストコンテンツの便宜上、標準語にしています)

 

BI導入は結婚生活によく似ている

—– ずっと、生産管理やERP(Enterprise Resource Planning:企業資源計画)ソフトウェアの分野でエンジニアリング活動をされていて、BIのスペシャリストになられた訳ですね。

 

高田: はい。大福帳のERPを作ろうという時代です。大福帳と言っても今の若い方にはピンと来ないでしょうか(笑) とにかく、BIという言葉が浸透していない時代から、「データが集まったら何が見えるんかなぁ?」ということをしておりました。ところで、今日は何をお話しすれば良いでしょうか。

—– 興味があるのは失敗例です。すばらしい成功事例は他のWebサイトでも参照できますが、失敗から学ぶことを聞く機会はなかなかありません。言いづらいこともあるかと思いますが、お願いします。

 

高田: 沢山ありますよ(笑)

—– BIは過去に何度かブームの波がありますが、今回のビッグデータブームで改めて注目されていると思います。こんどこそ失敗しないBI導入という視点でお話いただきたいです 。

 

高田: かしこまりました。いきなり結論を言いますが、BIの導入は「結婚生活」に似ています。

—– け、けっこん? 結婚生活ですか。ITの仕事をしていて結婚が例えなのは初めてです(笑)

 

高田: 結婚相手を探すとき、つまりBI導入前に見た目の美しさだけで決めてしまうは、その後うまくいかないこともあります。また、マルバツつけて年収(価格)や家柄(ブランド)だけで決めてしまうのもよくないですよね。

 

—– なるほど、そういう意味ですね。私は未婚なので、導入前の例えはわかる気がします。

 

高田: また、結婚後、つまりBI導入時や運用の際のプロジェクトは山あり谷ありで必ずしも順風満帆ではありません。これは、業務のメンバーとITのメンバーがお互いを信頼、尊敬をしながらも意見を言い合うのは生産的ですが、相手や道具の批判ばかりしていては、うまくいかないですよね。

帰宅して「俺(わたし)は仕事で疲れてるんだよ。」「わたし(俺)だって、家事が大変なのに!」と言い合っている夫婦と同じ状況です。

結婚前にお互いに結婚生活をどう過ごしたいか?という事をしっかり話しあい、共有されていれば、共同作業も順調にいくはずです。相手の尊重があってこそのプロジェクトであり、結婚生活です。

 

—–  なるほど。勉強になります。

高田: こんな偉そうな事を言って、大丈夫かな。このインタビュー公開されても、奥さんには内緒にしないといけないなぁ。(笑)

 

—–  でも深い話ですね。(笑)ここまでITの話はほとんど出ていませんが、このまま進めさせて下さい。

BI導入はどのようにすれば成功するのか

 

子供のテストが60点。それが良いのか悪いのかは数字だけではわからない

高田: はい。例えば、基幹システムはスタートを切る時に完璧に動かないといけないですよね。BIの導入もそう思われがちですが、スタート時のハードルを下げて、楽しみながら進めるといいと思います。実際そのようなプロジェクトの方がうまくいくケースがあります。

—– ハードルを下げるとは?

 

高田: はい。BIだからといって完璧にしようとか、難しく考え、身構える必要はないのです。

とにかく、「今まで見ている数字をどのように見たいのか?」を大事にしてください。

例えば、子供が学校のテストで60点の結果だからってそれが良いのか悪いのかは数字だけではわからないですよね。全員が30点以下なのに60点なのか、平均点が90点のテストで60点なのか。

このように、全体からの位置づけ見る、平均を見る、前回のテストからの変化を見たいでしょう。

 

—– 実際に、高田家ではどう評価されているのですか?

 

高田: 私はクラスや学年での順位を指標に、前回からの変化、比較を重要視しています。例えば、順位が落ちたとしたら、それには理由が有るはずです。直前に風邪を引いた 、勉強を怠ったなど。その原因を見つけ出し、改善していく事を子どもと話しています。

—– 数字を見る側に確固とした考えが必要なのですね 。

 

高田: はい。しかし高田家では順位と比較ですが、重山家では平均点との比較でも良いわけ言い訳です。企業も同じ「利益率」 を見ても企業の戦略や戦術の考え方から、A社とB社ではものさしの単位や見せ方が違う訳ですね。その違いから競争点があり、差別化戦略がうまれるのです。

 

止めた時文句を行ってくる人は普段見ている証拠だ

—– そのような高田さんがお客様とプロジェクトで良い関係を築き上げているのですね。

 

田: 私はいつもお客様に教えていただいてばかりです。

例えば、Cognosのバージョンアップのプロジェクトの話です。そのお客様は分析・レポートが200パターン導入されていました。バージョンアップのプロジェクトですから、ベンダー側としては当然200を前提に進めるわけです。しかし、お客様は200のうち、実際によく使われている20だけに絞ってバージョンアップすることにしました。

—– 残りの180パターンはどうされるのですか?切り捨てですか?

 

高田: 当然、そう思いますよね。お客様は「誰か怒って文句をいってきたら、そのレポートは必要としている人がいたとわかるので、その時点で対応していきます」とおっしゃいました。つまり文句を言って行ってくる人は普段見ている証拠だと。これは言われてみれば非常に合理的なのですが、実際はなかなか実施できないことだと思います。

 

—– できないですね。システムのバージョンアップの場合は、既存の環境をすべて活かすのが前提だと思い込んでいますから。

 

高田: そうですね。他の例ですが、営業の数字をみるBI導入プロジェクトであえて仕様書を作らなかったお客様がいらっしゃいました。

そのご担当者は「3年も同じ指標の見方をしているのは、会社が成長していないことになる。だから硬直化の要因になる仕様書は不要」というお考えでした。

財務会計の項目は基本的に普遍ですが、管理会計、営業情報の指標、項目は環境に合わせて変化していくのは当然です。

—– うかがった2つの事例は担当者に余裕というか自らのビジネスやビジョンを中核にされているので導入・運用に柔軟さがあるのですね。冒頭の「ハードルを下げる」ということですね。

 

高田: はい。システムの導入が目的化されてしまっているプロジェクトが多いのも事実です。数百×数百の項目をBIツールで無理やり処理しようと躍起になっているケースもよくあります。

時には他の方法を考えることや、BIツール以外で補足していく など、柔軟な発想が必要です。

 

 

あるお客様は原価管理シートを1ヶ月かけて作成し、報告していた

—– 「システム導入が目的化される」・・・耳が痛いです。渦中にいると頑張ってしまいますね。
ところで、数百項目と聞いて思うのが、BI導入までも導入後でもExcelを利用しているお客様は多いのではないでしょうか。

 

高田: Excelは便利ですが、どうしても属人的になってしまいます。共有がうまくいかない。マクロを作った担当者が不在になり、メンテナンスできない。マクロ(VBA)プログラムの仕様書がないために読み取りコストがかかる。などです。これらの問題解決に加えて、 Excel運用からBI移行の メリットの一つは 「レポート作成の時間短縮」だと思います。

Cognos導入BeforeAfter

 

高田: あるお客様は原価管理シートを1ヶ月かけて作成し、報告していました。今日が3月末なら4月末の経営会議に提出されるわけです。その1ヶ月の間に為替もかわる時代に、1ヶ月遅れの情報で経営判断しなければならないのです。経営判断にはもっとリードタイムを縮めないといけないですよね。

—– そうですね、しかしながら、そのようなExcelヘビーユーザの現場の方が「ビジネス・インテリジェンス・ツールを導入します」と言われると身構えてしまいそうです。

 

 

私を驚かせるために使い方を工夫しいるお客様がいます

高田: そのようなお客様にはIBM Cognos Insight(コグノス インサイト)から始めるといいでしょう。いわゆるデスクトップBI、パーソナルBIと言われる製品で、業務担当者のご自身のPCで 利用できます。もちろんExcel等のスプレッドシートからのインポート、エクスポートもサポートしています。参考価格は5万円台(2013年3月時点での価格)です。

 

—– 結婚の話から、やっと製品の話にたどり着きましたね(笑)
よく聞かれるかも知れませんが、競合他社のBI製品との違いは何でしょうか。

 

高田: 一言で言うと我々の製品は「アーキテクチャの底辺が統一されている」ため、機能拡張や開発の仮定で矛盾が発生しないことです。他にも(バージョン)10.2からはインメモリ型の高速分析が強化されています。Cogonosは自社のPureData System for Analytics(Netezza)やDB2、他の会社製品のDBも使えるし、同時にインメモリにも対応しているという点で非常に心が広い製品です。いや、八方美人なのかな(笑)

 

—– では最後にCognos製品のテクニカルセールスをしていた良かったなぁと思うことを教えて下さい。

 

高田: この製品は営業も導入も運用も長い時間が必要なため、確かに大変ですが、その分お客様との関係も深く、長くなるので、楽しいです。

私は導入後のお客様を定期的に訪問するのですが、あるお客様は私を驚かせるために行く度に新しい使い方をしており、得意げに説明してくださるのです。「高田さん、この使い方はどうでしょう?」と笑顔で私に言ってくれるのです。もうこれだけでもこの仕事をしていて良かったと思います。

また、他のお客様との会話で「高田さん、新規営業の行動指標(項目)は何だと思いますか?」と聞かれました。そうしたら、「名刺消費(名刺発注率)だ」とそのお客様はおっしゃって、目からウロコでした。

難しく考えずに、足元をみれば指標はころがっていることを教えてくださいました。

BIはお客様と根底を築きあげていく仕事なのでやりがいがある仕事です。

いようですね。(笑)

 

—– すごく素敵な話です。私はBI導入も営業もしたことがないのですが、大変な業務だろうという漠然とした感覚しかありませんでした。高田さんのお話を聞いていたら、BIの営業も経験してみたくなりました。

 

高田: 今から一緒に営業にいきましょうか? (笑)

 

—– ありがとうございます。しかし、このインタビュー記事を仕上げて、MERITひろばの皆様に高田さんのお話をお伝えする義務があるので、またの機会にお願いします。(笑)

 

インタビューも第2弾をお願いしてもいいでしょうか。

 

高田: もちろんです。こんな話でよければいつでもどうぞ。

編集後記

高田さんのお話は経験豊富なお坊さんのお説法を聞いているような、心に響く内容でした。実はインタビューでは、BI製品を販売するセールスパーソン向けの生々しい話が沢山ありました。それらの内容はビジネスパートナー向けサイトでご紹介しております。 (重山)

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2024年04月08日

【てくさぽBLOG】watsonx Assistant + Watson Discovery + watsonx.aiを連携してみた

こんにちは。てくさぽBLOGメンバーの高村です。 ビジネスへの生成AI の取り込みに注目が集まっている今日、watsonx.ai をどう活用すればいいのか、多くのお客様からお問い合わせ頂いています。そこで前回の「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」では、watsonx.ai のユースケースとして Retrieval-Augmented Generation(以下 RAG)をご紹介しました。 今回は、RAG の仕組みを利用し AIチャットボットを提供する「watsonx Assistant(以下 Assistant)」と検索エンジン機能を提供する「Watson Discovery(以下 Discovery)」、「watsonx.ai」を組み合わせた連携ソリューションをご紹介します。 目次 AssistantとDiscoveryの連携 watsonx.aiを取り入れた連携 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた さいごに お問い合わせ AssistantとDiscoveryの連携 本来なら各製品を一つのブログで詳しくご説明したいところですが、今回は連携した結果についてのご紹介となりますので、Assistant と Discovery については今後のブログであらためてご紹介したいと思います。 Assistant は watsonx の大規模言語モデルが搭載され、自然言語の問い合わせを理解し、適切な回答を返すことができるチャットボット機能を提供する製品です。一方 Discovery はドキュメントから適切な情報を検索する検索エンジン機能、パターンや傾向を読み取る分析エンジンとしての機能を備えた製品です。 Assistant と Discovery を組合わせたユースケースでは Assistant にあらかじめ回答を用意してルールベースで回答させ、答えることが難しい問い合わせに対しては Discovery の検索結果を利用して回答します。 watsonx.aiを取り入れた連携 上記の連携では Discovery の検索結果がユーザーに表示される仕組みとなっていますが、watsonx.ai を介して回答を提供することでDiscovery が得た検索結果をさらに整理し、より理解しやすい形での返答が実現できます。 Assistant + Discovery + watsonx.aiを連携してみた Assistant、Discovery、watsonx.ai を連携してみます。 事前準備 利用環境 今回は IBM Cloud で提供される SaaS を利用して検証します。なお、Assistant と Discovery の Plusプランは30日間無償期間が付属されていますので、是非ご活用ください。 watsonx Assistant:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) Watson Discovery:Plusプラン(30日間無償期間あり、以降は有償) watsonx.ai:Essentialプラン(有償) 検証の目的 検証では構築手順の他、以下の点を確認します。 「Assistant + Discovery + watsonx.ai」と「Assistant + Discovery」の連携による回答の違いを比較 言語モデルを変えて問い合わせを行い、回答の違いの比較 実施手順 以下の流れで検証を実施します。 Assistantのプロビジョニング Discoveryのプロビジョニング、検索対象とするデータの取り込み※取り込むデータは「IBM Power S1014 データシート」のS1014のPDF watsonx.aiのプロビジョニング Assistantの初期設定 Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 言語モデルを変えて問い合わせの検証 検証実施 1. Assistantのプロビジョニング はじめに Assistant のプロビジョニングを行います。 IBM Cloud にログインし、カタログ画面から "Assistant" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Assistant がプロビジョニングされます。 2. Discoveryのプロビジョニング 次に Discovery をプロビジョニングします。 カタログ画面から "Discovery" を選択します。 ロケーションとプランを選択し「作成」をクリックします。 しばらくすると以下の画面の様に、Discovery がプロビジョニングされます。※ここで、資格情報内にある「API鍵」と「URL」をメモに控えます 「Watson Discoveryの起動」をクリックし「New Project +」をクリックします。 Project name に任意の名前を入力、Project type では「Conversational Serch」を選択し「Next」をクリックします。 作成されたプロジェクトをクリックします。 「Integration Deploy」をクリックします。 「API Information」タブをクリックし「Project ID」をメモに控えます。 次に検索対象の PDF を Discovery に取り込みます。 「Manage collections」から「New collection +」をクリックし、「Collection name」に任意の名前を入力、「Select language」を「Japanese」に設定します。 Upload files の領域に PDF をドラッグアンドドロップして「Finish」をクリックします。 アップロードが完了しました。次に、Smart Document Understanding機能(以下 SDU)を利用して PDF内のヘッダーやテキストなどのフィールドを定義します。 SDU は、PDFをはじめとする非構造化データの文書構造を理解して検索や分析の精度を向上させる機能です。例えばタイトルと定義した箇所を検索キーとしたり、検索対象をテキストと定義した箇所のみとするなど可能になります。 「Identify Field」タブをクリックします。 取り込んだ PDF が表示されるので右側の Field labels からヘッダー箇所やタイトル箇所などをドラッグアンドドロップして指定していきます。 ページの定義が終わったら「Submit page」をクリックして次の頁を定義していきます。 SDU では数ページ指定すると自動的にヘッダー箇所やテキスト箇所を認識してくれるので、何ページもあるドキュメントには便利な機能です。 今回は SDU を使って PDF の文書構造を定義しました。SDU以外の Discovery の機能については、また別の機会にご紹介したいと思います。 3. watsonx.aiのプロビジョニング ※watsonx.ai のプロビジョニング方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part1)」をご参照ください。 4. Assistantの初期設定 Assistant の初期設定を行います。 Assistant を起動します。 起動後、以下の項目を入力します。 Assistant name:任意の名前を入力 Assistant Language:「English」を選択※日本語を選択することが可能ですが、Assistant のスターターキットは英語での利用を想定しているため今回はEinglishを選択します Assistant の公開先を「web」に設定します。※"Tell us about your self" 以降はご自身の情報を入力ください 入力後「Next」をクリックします。 デフォルトのチャットUI を利用するため「Next」をクリックします。 プレビュー画面が表示されるので「Create」をクリックします。(以下の画面は「Create」が隠れてしまっています) 「Congratulations!」と表示されたら初期設定は完了です。 5. Assistantのカスタム拡張機能からDiscoveryを繋げる 「Githubのassistant-toolkit」から "watson-discovery-query-openapi.jsonファイル" をダウンロードします。 Assistant のメニューから「Integration」をクリックします。 下にスクロールし「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 「Extension name」に任意の名前を入力し「Next」をクリックします。 先程ダウンロードした watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Basic auth」を選択 Username:「apikey」と入力 Password:メモに控えたWatson DiscoveryのAPI鍵 discovery_url:メモに控えたWatson DiscoveryのURLから"http://"を除いた値 ※以下の画面ショットは discovery_url入力箇所が切れてしまっていますが、実際は「Servers」の下に discovery_url の項目があります 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで watsonx Assistant と Watson Discovery が連携できました。 6. Assistantのカスタム拡張機能からwatsonx.aiを繋げる 次に、Assistant のカスタム拡張機能から watsonx.ai を利用できるように設定します。 設定には IBM Cloud の APIキーと watsonx.ai のプロジェクトID が必要です。取得方法は「【てくさぽBLOG】IBM watsonx.aiを使ってみた(Part2)」をご参照ください。なお、今回は東京リージョンで watsonx.ai をプロビジョニングします。 Github の「assistant-toolkit」から "watsonx-openapi.json" をダウンロードします。 Visual Studio Code などで東京リージョンの URL に編集し保存します。 Discovery の連携と同様に、Assistant のメニューから「Integration」「Build custom extension」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、任意の Extension name を入力して「Next」をクリックします。 編集した watson-discovery-query-openapi.jsonファイルをドラッグアンドドロップでアップロードして「Next」をクリックします。 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 追加した Extension の「Add +」をクリックします。 以下の画面が表示されるので、選択および入力します。 Authentication type:「Oauth 2.0」を選択 Grant type:「Custom apikey」を入力 apikey:取得済みのIBM CloudのAPIキー Client authentication:「Send as Body」を選択 Header prefix:Bearer(デフォルト) Servers:https://jp-tok.ml.cloud.ibm.com(自動入力) 以下の画面が表示されるので「Finish」をクリックします。 Extension が「Open」となっていることを確認します。 これで Assistant と watsonx.ai が連携できました。 7. Assistantアクションの作成、問い合わせの検証 Github の「assistant-toolkit」から "discovery-watsonx-actions.json" をダウンロードします。 Assistant の「Actions」から「Global Setting」をクリックします。 「Upload/Download」タブをクリックし、Uploadスペースに discovery-watsonx-actions.json をドラッグアンドドロップしてアップロードします。 以下の画面が表示されるので「Upload and replace」をクリックします。 以下の画面の通り、3つのアクションが作成されます。 メニューから「Variables」「Created by you」をクリックします。 「discovery_project_id」の値をメモに控えていた Discovery のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「watsonx_project_id」の値をメモに控えて置いた watsonx.ai のプロジェクトID を入力し「Save」をクリックします。 「model_id」の値で watsonx.ai で使用する言語モデルを指定します。2024年2月29日に GA された日本語で訓練された Granite-japaneseモデルを使用するため、「ibm/granite-8b-japanese」を入力し「Save」をクリックします。(その他変数はデフォルト値とします) 「Actions」から「Generate Answer」を選択し、「model_input」の値を以下の例の様に日本語に変更します。 例: ("<s>[INST] <<SYS>>\nあなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。\n\n質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。\n<</SYS>>\n\n質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。\n\n").concat(passages).concat("\n\n[question]: ").concat(query_text).concat("[/INST]") 以上で設定は完了です。 さっそく Assistant から問い合わせをしてみます。 右下の「Preview」をクリックします。 チャットから S1014 の特徴について問い合わせしてみます。約18秒後に以下の回答が返ってきました。 「Inspect」をクリックすると、Discovery の検索結果が以下の通り watsonx.ai に渡されていることがわかります。 <s>[INST] <<SYS>> あなたは親切で、礼儀正しく、誠実なアシスタントです。常に安全を保ちながら、できるだけ役立つように答えてください。答えは簡潔に日本語で回答してください。回答には、有害、非倫理的、人種差別的、性差別的、有毒、危険、または違法なコンテンツを含めてはいけません。回答が社会的に偏見がなく、本質的に前向きであることを確認してください。 質問が意味をなさない場合、または事実に一貫性がない場合は、正しくないことに答えるのではなく、その理由を説明してください。質問の答えがわからない場合は、誤った情報を共有しないでください。 <</SYS>> 質問に答えることで、次のエージェントの応答を生成します。タイトルが付いたいくつかの文書が提供されます。答えが異なる文書から得られた場合は、あらゆる可能性について言及し、文書のタイトルを使用してトピックまたは領域を区切ってください。与えられた文書に基づいて回答できない場合は、回答がない旨を記載してください。[title]: IBM Power S1014 柔軟かつセキュアなハイブリッドクラウド・インフ ラストラクチャーで俊敏性を実現[document]: 1 コ ア 当 た り 4 つ の M a t r i x Math Acceleratorによる迅速 なAI推論のために洞察と自動 化を合理化 業界標準のDIMMより2倍優 れたメモリーの信頼性と可用 性を提供 IBM® Power® S1014 は、1ソケット、4U Power10プロセッサーをベースにしたサー バーで、IBM AIX®、IBM iまたは Linux®上のビジネス・クリティカルなワークロード 向けに設計されています。Power S1014を使用することで、ワークロードはより 少数のサーバーに統合され、ソフトウェア・ライセンスの数、電力と冷却のコスト を削減します。Power S1014サーバーは、プロセッサー上でのメモリー暗号化を 使用してエンドツーエンドからデータを安全に保護し、ラック型またはタワーフォー ム・ファクターで購入できます。 プロセッサー・レベルでのメモリー暗号化と、POWER9 と比較してすべてのコア で4倍の暗号化エンジンによりコアからクラウドまでのデータを保護 ますます高度に分散した環境に存在するデータには、もはや境界線を設定すること は不可能です。 [question]: S1014の特徴は?[/INST] Assistant と Discovery のみの連携で検索した結果は以下の通りです。watsonx.ai を使用した方がより簡潔で分かりやすい回答を得られることが分かります。 8. 言語モデルを変えて問い合わせの検証 言語モデルを "llama-2-70b" にして同様の問い合わせをしたところ、約24秒後に回答が返ってきました。箇条書きで丁寧な印象です。 言語モデルを "elyza-japanese" にした際は10秒ほどで回答がありました。主語として「S1014の特徴は」とあることで、問いに対する回答が分かりやすくなっています。 言語モデルを変えて試した結果、llama-2-70B は箇条書きで回答し丁寧な印象を受けましたが、回答が得られるまでに24秒かかりました。一方 Granite-japanese や elyza-japanese はシンプルな回答を生成し、Granite-japanese は18秒、elyza-japanese は10秒というより短い時間で回答を得られました。 Watson Discovery の検索結果に基づき watsonx.ai で回答を生成するので、ある程度時間がかかると予想していましたが、elyza-japanese は速い回答で主語を添えてわかりやすく回答してくれました。 また、llama-2-70B は汎用的で使いやすいモデルですが、プロントで「日本語で回答して」と指示をしても問い合わせ内容によっては英語で回答することがありました。日本語の回答精度を求める場合は、Granite-japanese や elyza-japanese を使用した方が精度の高い回答を得ることができます。 モデルを変えて問い合わせてみると、モデルごとに得意なタスクが異なることがわかりました。数百億のパラメータで訓練された大規模言語モデルを一概に選択するのではなく、言語やタスクの特性に合わせて最適なモデルを選定することが重要になりそうですね。 さいごに いかがでしたでしょうか。Github から提供されているスターターキットを使って Assistant、Discovery、watsonx.ai を繋げてみましたが、ほどんど躓くことなく UI から簡単に設定することができました。 接続自体に高度な難しさは感じませんでしたが、問い合わせに対して正確な情報を得るためには Assistant の検索設定を調整する必要があります。今回は1つの PDFファイルの検索を行いましたが、複数の PDFファイルから情報を引き出す際には Assistant で query を設定することで特定の PDFファイルからの検索が可能です。 このように PDF などの非構造化データを検索対象として精度の高い回答を得るには、Discovery において文書の構造を明確に定義し、Assistant の検索設定を調整することが必要です。 実際にヘルプデスクなどの Webチャットで利用する場合は、Assistant にあらかじめ用意した回答をルールベースで回答させ、それでも解決できない問い合わせについては Discovery を通じて検索を行い、watsonx.ai を用いて回答を生成するという流れが効果的です。 ただし、生成AI によって生成される回答は常に”100%正確な回答”ではないので、より高い精度の回答を追求するためにはプロンプトの調整などチューニングを施すことが必要です。その結果、より使いやすい Webチャットの実現が期待できます。 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

2024年01月16日

【イベント開催レポート】IBM watsonx.ai ハンズオンセミナー

こんにちは。ソリューション推進部です。 2023年12月12日に、エヌアイシー・パートナーズ株式会社として初めてのハンズオンセミナー『「IBM watsonx.ai 」を利用したRAGのハンズオンセミナー』を開催しました。 今回のハンズオンセミナーは、以下の2つのことを目的として行いました。 パートナー様に製品の紹介とハンズオンを合わせて体験いただくことで、製品をより深く知っていただくこと 製品を活用したビジネスの新たな応用の可能性を見つけ出していただくこと 私たちのチームでは、パートナー様にご紹介・ご説明する製品を「実際に触ってみること」を大切にしています。これは私たち自身の技術力の向上という目的もありますが、パートナー様に私たちのリアルな経験を交えながら製品のご説明をすることが、お客様の具体的な課題発掘や案件創出に繋がっていると考えているためです。 今回のハンズオンを通して、パートナー様ご自身が製品の価値を体感しご理解いただくことで、新しいビジネス展開のイメージを創出するお役に立ちたいと考えました。 それでは、今回実施したセミナーの内容について簡単にご紹介いたします。 目次 レポート watsonx.ai紹介講義 ハンズオン実施 IBMさまによる最新情報紹介・講義 さいごに お問い合わせ レポート 1. watsonx.ai紹介講義 ハンズオンを実施する前に、watsonx.ai と RAG についての講義を行いました。 国内では生成AIビジネスが加速し、競争力やセキュリティなどの課題が増えています。これらの課題を解決する製品として、IBM watsonx をご紹介しました。 watsonx は「watsonx.ai」「watsonx.governance」「watsonx.data」という3つの製品から成り立っています。watsonx.ai は、基盤モデルをベースとした AI開発スタジオです。 ここでは、IBM が信頼できるデータを用いて事前に学習した基盤モデルや Hugging Face, Inc.* と連携したオープンソースの基盤モデルが利用可能で、ビジネスの状況や要件に応じて最適な基盤モデルを選択することが可能です。 また、RAG についての概念や利点、活用が期待されるシーンもご説明しました。RAG を用いた具体的なユースケースとしては、IBM Watson Speech to Text や Watson Discovery、watsonx.ai を活用したコールセンター業務の事例や、watsonx Assistant や Watson Discovery、watsonx.ai を活用した ECサイトの問い合わせの事例を取り上げました。 時間の制約からこれら2つの事例しかご紹介できませんでしたが、今後、watsonx.ai を活用した多様な事例を私たち自身も理解し、パートナーさまと共に議論を深めていきたいと思います。 *Hugging Face, Inc.:機械学習 アプリケーションを作成するためのツールを開発しているアメリカの企業。 2. ハンズオン実施 ハンズオンでは、受講者の方々に「RAG」を活用した watsonx.ai の Foundation Model(LLM)への問い合わせを体験していただきました。 RAG とは「Retrieval-Augmented Generation」の略で、LLM への問い合わせをする際に、事前に用意したベクターストアへデータ(今回はPDF)を取り込んでおき、問い合わせプロンプトをもとにベクターストアを検索し、その結果を付与して LLM へ問い合わせを行う、というテクノロジーです。 RAG を使うことで、一般公開されていない社内情報を活用して LLM を利用することが可能となるため、自社での利用やお客様の課題を解決するための方法として有効であると考えています。 ハンズオンの環境につきましては、準備に時間をかけずスムーズに始められるよう、事前に弊社にて PC や RAG を利用するための Jupyter Notebook を用意いたしました。 また、watsonx.ai では複数の Foundation Model を利用できるため、複数のモデルを使って挙動の違いを確認してみたり、取り込む PDFファイルを追加することで回答がどう変わるのか、など、ご自身で自由に検証をする時間を多く設けました。皆さまそれぞれに前提スキルは異なっていたかもしれませんが、「体験の時間が足りない…」ということはなかったかと思います。 今回ベクターストアへ取り込むのは PDF のみとしましたが、テキストファイルや PowerPoint なども取り込むことができるので、応用できる使い方が非常に広いということを理解いただけたのではないかと感じています。 3. IBMさまによる最新情報紹介・講義 日本アイ・ビー・エム データ・AI・オートメーション事業部 四元さまに「watsonx」に関して、最新事例と製品アップデート情報の2本立てで講義をしていただきました。 事例においては、IBM社内の watsonx活用事例(AskIT)は特筆すべきと言えるでしょう。 AskIT は、IBMの自然言語処理(NLP)能力を活かし、30万件を超えるサポートチケットから抽出された知見をもとに、重要なサポートトピックに迅速に対処する AIアシスタントとして開発されたそうです。このツールは4ヶ月で133,000人の IBM社員に利用され、問い合わせの75%以上が AI によるチャットで解決されるなど、非常に大きな成果を上げています。 製品アップデート情報のメインは、12月に発表された「watsonx.governance」でした。 AI を組織として採用するためには倫理感のある意思決定が必須であり、watsonx.governance は AIガバナンスとして以下の3つの機能を提供する製品である、というご説明をいただきました。 AIライフサイクルを通してAIモデルの実態を把握するための「モデル・インベントリ」 AIの性能や課題の管理などを行う「評価・モニタリング」 総合監視画面を提供しリスクを可視化する「モデル・リスクガバナンス」 モデル・インベントリでは、他社の AI商品である「Amazon SageMaker」「Azure Machine Learning」などの AIモデルも合わせて管理・監視できることが非常に興味深いです。 watsonx は、AIワークフローを一貫してサポートすることで倫理的かつ透明性の高い AI利用を可能にしています。これらの技術革新は私たちが直面している数多くの課題に対する解決策を見出し、先進的なビジネス環境を促進していく上での重要なステップと言えるでしょう。 日本アイ・ビー・エム株式会社 データ・AI・オートメーション事業部 四元 さま さいごに セミナー後には、参加いただいたパートナーさまとご支援いただいた IBMさまとの懇親会を開催いたしました。 当懇親会を通してパートナー様の生成AI に対する取り組みや課題を直に伺うことができ、大変有意義な場となりました。 2023年12月18日に弊社は10周年を迎えました。10年間で培った経験を糧にし、今後さらに新しい取り組みにチャレンジしていきたいと考えております。 本年も、ブログを通してパートナーの皆さまへ様々な情報をお届けさせていただきます!今後ともどうぞよろしくお願いいたします。 懇親会会場 お問い合わせ エヌアイシー・パートナーズ株式会社E-Mail:nicp_support@NIandC.co.jp   .highlighter { background: linear-gradient(transparent 50%, #ffff52 90% 90%, transparent 90%); } .anchor{ display: block; margin-top:-20px; padding-top:40px; } .btn_A{ height:30px; } .btn_A a{ display:block; width:100%; height:100%; text-decoration: none; background:#eb6100; text-align:center; border:1px solid #FFFFFF; color:#FFFFFF; font-size:16px; border-radius:50px; -webkit-border-radius:50px; -moz-border-radius:50px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #eb6100; transition: all 0.5s ease; } .btn_A a:hover{ background:#f56500; color:#999999; margin-left:0px; margin-top:0px; box-shadow:0px 0px 0px 4px #f56500; } .bigger { font-size: larger; }

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